片恋スクランブル
「アイツが誰と付き合うとかは別に、関係ないけどな、俺は」
「御園生さん……」
「まぁアイツのことだから、あの受付嬢になにか吹き込まれて、面倒抱えてるんでなきゃいいけどな」
「ただ付き合うだけなら、元気なくなったりしませんよね」
最悪、八木さんが本気で白川さんのことを好きなら仕方ないと思う。
私も、菅谷さんも八木さんの幸せを祈る事ができると思う。
でも、私は知ってる。
見てしまったから。八木さんの菅谷さんへの想いの一部分を。あれがなんとも思ってない人への態度だなんて思えないから……。
確かめたいんだ。
「我が儘です……よね」
我儘だと思う。御園生さんに迄迷惑かけて知ろうとするなんて……。
「仕方ねぇだろ?好きなら知りたくなるもんだよ、相手の気持ちが」
意外に優しい言葉をかけられて少し戸惑ってしまった。
「……てっきり、バカって言われると思ってました」
「……気持ち、分かるからな」
グラスに視線を落とし、御園生さんはポツリと呟いた。
気持ち?
『好きなら知りたくなるもんだよ、相手の気持ちが』
さっき、御園生さんはそう言った。
ふと思った。
御園生さんは好きな人とうまくいってるのかな……?