片恋スクランブル
「そうだな。……きっとアイツならグーで殴るな」
殴られることを想像したのか、八木さんは、痛そうに顔をしかめた。
「殴られちゃうんですか?」
驚く私に八木さんは、ほほを緩ませ、懐かしそうな顔をした。
「マジ殴るよ。アイツは……っていうより、アイツ等は……だな」
「アイツ等?」
「菅谷と、御園生の事。特に御園生は嘘が大嫌いでさ、つくのもつかれるのも嫌みたいで、菅谷があからさまに嘘をつくと大激怒するんだ」
大激怒……。
あの俺様な態度で大激怒なんかされたら、私なんて二度と彼の前に立てないよ。
「御園生さん、怒ると怖そうですもんね」
私の言葉に八木さんは、笑って首を左右に振る。
「まぁ、御園生もだけど、菅谷のが怖い」
「え?菅谷さんが嘘を着いた時ですよね?」
どうして嘘をつかれた方じゃなくて、嘘をついた方が怖いんだろ?
「逆ギレすんの」
「逆……ギレ?」