デキる女を脱ぎ捨てさせて
　車を走らせていた倉林支社長がコンビニに入って車を停めると言い出した。
　何か買いたい物があるのかな？と思ったけれど違うらしかった。

「忘れ物を取りに行きたいのだが、いいかな？」

「忘れ物……ですか？」

「あぁ。忘れ物というか、窓が開いていたような気がするんだ。」

　倉林支社長の言葉に条件反射的に返した。

「え？どこのですか？
　会社は私もチェックしました。
　あれ、これは昨日の記憶ですね……。」

　毎日のように残業をして窓や扉の戸締りをチェックするのがクセになっていた。

　でも窓が開いてるって他に……。

「いや、自宅の。
　前に行った時に小窓を開けたままだったかもしれない。」

「それは大変じゃないですか！
　小窓でも閉めなきゃダメですよ。
　前にってご自宅に毎日帰られてないんですか？」

　もしかして私を帰らせた後にまた会社に戻って仕事を……って彼ならやりそうで心配だ。

　しかし私の心配は杞憂だった。

「こっちにもマンションを借りていてね。
　今は支社の近くに借りたマンションに住んでいて、こっちには住んでいないから管理してるだけでもったいないんだけどね。
　とても気に入っているから手放せなくて。」

　マンションを……二つ……。
　しかも今朝車を取りに行ったマンションでさえ高級そうなのに、それを二つ！？

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