デキる女を脱ぎ捨てさせて
「マンションのパブリックスペースにプールとマシーンもあるから。」

 マシーンってまたとんでもない機械が飛び出しそうだ。

「何を想像しているの?
 ただスポーツジムがあるようなものってこと。」

 あぁ、ただのスポーツジムね。ってなるわけないでしょう?
 呆れるような気持ちでいると彼はトドメを刺すようなことを口にした。

「それにバーもあって夜景が綺麗なんだよ。
 機会があれば一緒にお酒でも飲みたいね。」

「あははっ。それはすごいですね。」

 そんな機会、一生来ませんけどね!

「花音って。
 思ってることが全部顔に出るよね。」

 また花音って……。
 もう優しく微笑まれても倉林支社長のペースに飲まれませんからね!

「そんなことありません。」

 キリリとした顔を作ると隣から不満な声が漏れた。

「それ。いつも職場でその顔だ。
 俺の前では素の花音でいてよ。」

 甘い囁きに目眩がしそうになって、どうやったら倉林支社長に太刀打ち出来るのか、どうにも私では対応できない心持ちになった。

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