デキる女を脱ぎ捨てさせて
「わぁ。素敵ですね。」

 部屋に上がらせてもらうと広いリビングは家具や調度品でさえ高級そうで、それでいて上品だった。

「好きに見てくれて構わないよ。」

 小窓を閉めに行くという彼は私を残して別の部屋に行った。
 私はリビングを一通り見て、それから倉林支社長が来てからお許しをいただこうとうずうずしながら彼を待った。

 戻ってきた彼に「キッキンも見させていただいても?」と断りを入れてカウンターキッチンの内側にも入らせてもらった。

 使っていたことの分かるキッチンは綺麗に整頓され、無駄なものが出されていない。
 倉林支社長らしいなぁと感心する。

 彼は物珍しそうに見て回る私に説明してくれた。

「ここのマンションはディスポーザーがついていてね。
 料理する者としては楽だったよ。
 生ゴミをそのまま処理できるのはありがたい。」

 ディスポーザーとは排水口に直接生ゴミ処理機がついているような設備のことだ。

 テレビの何か番組で紹介されていた。
 その時も確か高級マンションの紹介で話された設備の一つだった。

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