デキる女を脱ぎ捨てさせて
「フフッ。冗談です。
 その顔で真面目腐った顔をされるとこちらが困ります。」

 青天の霹靂のような顔をされて今度は吹き出してしまった。

 彼の固かった表情も緩んで冗談っぽく不満を口にされた。

「腐りたくもなるよ。
 西村さんのような人にセクハラの言い掛かりを付けられるとは。」

「私のような?」

「魅力的な方に。という話。」

「……誰の話ですか?」

「私と西村さん以外に誰が?」

「、、本気でセクハラですけど?」

「ハハッ。これは参ったな。」

 この人、空気読めないんじゃない?
 それともわざと読まないわけ?

 初日にこっぴどく振られたのに優しくするし、魅力的なんて冗談でも言っちゃダメでしょう。

 彼は軽い冗談のつもりでしょうけど!

 イケメンってそれだけで罪だ。

 あまりにも嘘っぽくて、こっちは照れられなくて助かりますけどね!

「サービス残業と言わずせめて食事を……。
 っとこれはセクハラに値するのか、それともパワハラなのかい?」

「モラハラというのもありますよ?」

「モラル…は私の方が守っていると思うが?」

「そうでしょうか。
 存在だけで女性社員を惑わせています。」

 軽口のつもりだった。
 彼の軽い冗談で一喜一憂させられる身になって欲しいって軽い気持ちで。

 しかし彼を見ると腕を組んでいて空気が一変したのを感じた。

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