御曹司は眠り姫に愛を囁く
「貴崎さんと室雨の二人で、発熱した俺を看病してくれたのか・・・」

彼女は俺の朝食にとお粥を用意してくれた。

「支社長だけ、特別メニューですか…羨ましいですね」

「別にお粥じゃなくても…俺は普通の食事で・・・」

「消化に良い物の方がいいですよ。そう言わず、食べてください。椎名さん」

俺が陸翔と共に､嘘を付いて騙した手前、彼女の厚意に甘えるコトは出来なかった。


「食べないなら、俺が頂きますよ。支社長」
と隣でクロワッサン齧りながら、アイスコーヒーを飲んでいた室雨がレンゲを手にする。

「俺が食べる！」
俺は室雨からレンゲを奪い返して、彼女のお粥を口に運び、咀嚼した。

「味、どうですか？」

「味がない」

「塩を少し入れただけですから・・・」

「室雨、冷蔵庫からケチャップを持って来てくれ」

「承知しました」

俺は室雨に頼み、冷蔵庫からケチャップを持って来て貰った。

「サンキュー」

俺は塩味だけの彼女のお粥に、ケチャップをかけた。

「美味い」

「支社長は大のケチャップ好きなんですよ。人前ではかけないですが・・・部屋ではギョーザにケチャップをつけて食べます」


「室雨、余計なコトは言うなっ！」
俺は室雨を睨みつけて、叱り飛ばした。







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