御曹司は眠り姫に愛を囁く
快楽に身を堕として、女性と肌を重ね、その後は上体を起こしてバスローブに身を包み、煙草を吸う。

「また、会ってくれる?」

乱れたシーツの上に布団に包まり、横たわる女性は次の逢瀬をねだる。


「それは無理かな・・・俺、結婚するから」

咥えていた煙草を口許から離して、紫煙を燻らせてやんわりと断った。

「じゃ今夜は朝まで楽しみましょ」

「それなら、構わない」

携帯用の灰皿に吸い殻を捨てて、再びベットに戻り、彼女のカラダを組み敷く。

本能に流されるまま、もう一度この腕の中に女性を抱いた。

真っ黒になった絶望の心に白い劣情の光が差し込み、カラダごと欲の波に浚われていった。



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