御曹司は眠り姫に愛を囁く
「稜とは別れたようだね・・・」

副社長は急に顔を近づけて、耳許で囁いた。

私は黙って頷く。

「相手は相葉さんだよね・・・」

私はもう一度頷く。

あのキス以来、相葉さんは体調不良で休んでいた。
今まで、勤務態度も真面目で、無遅刻無欠勤の相葉さん。

一度、彼女の部屋にお見舞いに行こうと思うけど、相葉さんが稜さんの浮気相手。

彼女だって、私と稜さんの交際知っていたはずなのに。

なのに、稜さんと。

彼が彼女に言い寄ったんだと思うけど。

どんな顔で言葉で彼女と接していいのか悩んだ・・・


「相葉さん、ずっと欠勤してるでしょ?」

「はい・・・」

「それはね・・・彼女・・・稜の子を妊娠してるからなんだ・・・悪阻で体調が悪いんだよ」

――――超最悪の展開。


「・・・それが、曾爺様の耳にも入って、責任取れと言われ、近々、社内でも二人の結婚が発表されると思う。
君には発表される前に伝えおいた方がいいと思って」

「副社長・・・」

「マジで君には俺から謝罪するよ。貴崎さん」

副社長は私に軽く頭を下げた。

「いえ」


副社長は稜さんと相葉さんの授かり婚を伝える為に、隣に座ったんだと思った。


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