御曹司は眠り姫に愛を囁く
『後は俺が何とかしますから、貴崎さんはお帰りください』と室雨さんに言われ、私は椎名さんを彼に任せ、ホテルを出ると柘植社長と池口さんに鉢合わせした。

「凛音さん?」

「柘植社長、海外出張から、戻られたのですね・・・」

「君はホテルに用事?」

柘植社長の顔があれば、ラウンジに入れるかもしれない。

「柘植社長、お願いがあります!」

「!?」

私は柘植社長に事情を話した。

「『プラチナ』か・・・分かった。君の願いを叶えよう・・・」

「社長、会食の時間に遅れますよ」

「分かってる。凛音さんが初めて、この私を頼ったくれたんだ・・・力になりたい。池口。会食の方はお前がなんとかしてくれ」

「社長・・・」

「すいません・・・池口さん」


池口さんは私達から少し離れ、会食先の方に電話を掛けた。
柘植社長も誰かに電話を掛ける。

「『光洋』の柘植だ。支配人・・・」
柘植社長はホテルの支配人に電話を掛け、私を『プラチナ』に入れるよう手配してくれた。

「これで、君は『プラチナ』に入れる。しかし、その恰好ではラウンジの雰囲気に合わないかもしれない。
私の知り合いが当ホテルの二階でセレクトショップのオーナーをしている。洋服はそこで買いなさい。池口が戻ったら、同行させる」


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