御曹司は眠り姫に愛を囁く
最終面接　瑛side～
俺と彼女の出会いは我が社の最終面接の朝だった。

真夏はさすがに体力に自信がなく、ロードバイクでの通勤は止めていた。

9月に入り、部屋に射し込む朝の陽光が柔らかくなったのを感じて久しぶりにロードバイクに乗って、通勤。

自宅マンションから、オフィスまでペダルを漕いだ。

颯爽と風を切りながら､滑らかに進む俺のロードバイク。

全身に滲み出る汗を爽快に感じる。


無機質なビルが並ぶオフィス街へと入っていく。オフィスまで後僅かで。ゴールの本社ビルの姿が見える。

「！！？」

突然、十字路に差し掛かり、ビルの影から目の前に紺のリクルートスーツ姿の女性が飛び出してきた。

俺は反射的にブレーキをかけ、停止させた。彼女との衝突は免れたが、もっと加速していれば、きっと正面衝突して、互いに大怪我をしていた。

「大丈夫か？君」

彼女も驚き、舗道に尻餅をついてしまった。

俺はバイクをガードレールに立てかけて、彼女に近づく。

彼女はお尻を左手で摩りながら、立ち上がって、汚れたスカートの埃を払う。

「申し訳ありません」



< 15 / 171 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop