御曹司は眠り姫に愛を囁く
あれは絶対に夢。
私はそう自分に言い聞かせて、オフィスに向かう。
デスクのノートパソコンを立ち上げて、テンプレートにデータを打ち込んでいく。
「今日はやけに顔が真剣だね」

「え、あ・・・」
須藤さんが私に話し掛けて来た。

「この仕事は浅見社長から頼まれた仕事なので、ミスしたらいけませんから」

「あれから・・・瑛とはどうなった?」

「あ・・・椎名さんとは・・・」
私のタイピングを止め、須藤さんと顔を合わせる。
そして、椎名さんの顔を思い出し、その挙句には昨日の夜の情事を思い出した。
カァーと顔がみるみる紅潮し、カラダまで熱を帯びていく。

「貴崎さんって本当に分かりやすい反応するね」

「上手くいったんだ。瑛もこれで夜遊びは止めるだろうな」

「私達は別に…何も・・・それに私は・・・」
私の実の父の勧める方と見合いをする。
「椎名さんもそうだけど、私も見合いするんです」

「そうなの?それ本当?」

「はい」

「へぇー」

互いに別々の相手と見合いして、結婚する。
それは決定事項。





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