御曹司は眠り姫に愛を囁く
「本当に大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。急に飛び出して…本当に申し訳ありません」
ツヤツヤな長いストレートの黒髪を黒いゴムで後ろに一括り。
くっきりとした二重に、円らな瞳。
鼻筋は通り、程よい厚みの唇の美人系の顔立ち。
綺麗にメイクにすれば映えそう。
就活用のナチュラルメイクが勿体なかった。
「これから、面接?」
「はい」
彼女は面接時間に遅刻しかけているのか・・・相当焦っていた。
「本当に申し訳ありません・・・」
「いいんだよ。頑張って」
彼女はひたすら頭を下げて、黒のパンプスで舗道を駆けていった。
俺は手をヒラヒラさせて、彼女の後ろ姿を見送り、健闘をそっと祈った。
それが貴崎さんと最初の出会い。
最終面接で彼女の姿を見た時、思わず声が出そうになったが。
彼女はロードバイクに乗っていたのが俺だと気づいていなかった。
俺は自転車乗りの間では人気のブランドの上下サイクルジャージで、ヘルメットにサングラスを掛けた姿だったから。
素顔は分からなかったと思う。
「はい、大丈夫です。急に飛び出して…本当に申し訳ありません」
ツヤツヤな長いストレートの黒髪を黒いゴムで後ろに一括り。
くっきりとした二重に、円らな瞳。
鼻筋は通り、程よい厚みの唇の美人系の顔立ち。
綺麗にメイクにすれば映えそう。
就活用のナチュラルメイクが勿体なかった。
「これから、面接?」
「はい」
彼女は面接時間に遅刻しかけているのか・・・相当焦っていた。
「本当に申し訳ありません・・・」
「いいんだよ。頑張って」
彼女はひたすら頭を下げて、黒のパンプスで舗道を駆けていった。
俺は手をヒラヒラさせて、彼女の後ろ姿を見送り、健闘をそっと祈った。
それが貴崎さんと最初の出会い。
最終面接で彼女の姿を見た時、思わず声が出そうになったが。
彼女はロードバイクに乗っていたのが俺だと気づいていなかった。
俺は自転車乗りの間では人気のブランドの上下サイクルジャージで、ヘルメットにサングラスを掛けた姿だったから。
素顔は分からなかったと思う。