御曹司は眠り姫に愛を囁く
「しかし、浅見さんと千晶さんって・・・オフィスでは素っ気ないから・・・仲悪いのかと思ってました」

元は別の建築事務所で働いていた沢口さんが浅見さんに言った。

「人前でイチャイチャしていないだけだ・・・夜はラブラブだ。夫婦の時間は大切している」

「私、子供が生まれても…夫婦の時間を大切にするのが理想なんです。
浅見さんと千晶夫人が私の理想の夫婦です」

入ったばかりの新入社員の若ちゃんコト若槻愛実(ワカツキメグミ)さんが浅見さんを尊敬の眼差しで見つめた。
クリクリした大きな瞳は澄んだ綺麗な黒。顔はとても小さく、小型犬のような愛らしい印象の女性。

「そっか・・・じゃ俺と結婚する?俺も子供が生まれても、夫婦の時間大切するよ」

隣に座る沢口さんが若槻さんを口説き出した

「沢口さんはちょっと・・・
私、須藤さんならいいかも・・・」


「おーっ、陸翔。若ちゃんがお前を指名しているぞ。なんとか言ってやれ」

須藤さんは困惑したように頬杖を付き、中ジョッキのビールを喉に流し込むだけ。


「・・・俺は君のコト会社の後輩にしか思えない」


「・・・真に受けて、答えるなよ。どうせ、冗談だし。陸翔」

「私は本気ですよ。浅見さん」

「マジで??陸翔の何処がいいの?」

「クールな所と仕事の出来る所。後は・・・須藤さんの嫌いな所は一切ありません」

「だって…陸翔」

浅見さんはバシバシと冷やかすように須藤さんの背中を叩きまくった。

「いてぇな・・・拓也」




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