御曹司は眠り姫に愛を囁く
私はパウダールームで鏡で自分の顔を覗いた。
自分では上手に笑って誤魔化したつもりだったけど、副社長には見透かされてしまった。

ーーーーきっと酷い顔だったんだろう。

私は頬をパチパチ叩いて、キモチを切りかえて、1階の総合カウンター兼サロンへと戻る。

『シーナ』横浜ショールームは本社近くとあって、関東最大の規模の大型のショールーム。
10階建ての外観はクリーム色の建物。
100台駐車可能では駐車場も完備。

再開発されたベイエリアにあり、最上階には関連会社のお洒落なレストラン、気軽に立ち寄れるスポットとして人気を博している。

最近、大人気の北欧の家具・雑貨メーカーとも提携し、新たに3階にコーナーを設け、それも人気の後押しをしていた。




カウンターの椅子に腰を下ろしていると副社長が足早に近寄って来た。

「悪いけど、ちょっと頼む・・・貴崎」

「あ、はい」

私は副社長に呼ばれ、エレベーターホールへと向かう。


副社長の訪問は週末から始まるイベントの視察の為だった。

エレベーターに乗り込むと副社長が口を開いた。

「悪いな。貴崎さん」

「いえ」



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