御曹司は眠り姫に愛を囁く
「ありがとうございました。副社長」

「君と会うのは2年振りだね・・・貴崎さん」
副社長の瞳は私の懐かしそうに見ていた。

「言っとくけど、俺は今『東京支社』の支社長だから・・・副社長じゃないんだ・・・」

「支社長?」

「うん」

「そうでしたが・・・すいません」

彼は私に名刺をくれた。

『シーナ』東京支社・支社長・椎名瑛。


「支社長はここで何を?」

「あそこの物陰に隠れて、電話を掛けていた。そうしたら、見慣れた顔が視界に入って・・・」

支社長は観葉植物の指差して、説明してくれた。

バックに忍ばせたスマホが鳴り響く。相手は明日香だった。
彼に背を向けて、通話する。


「ゴメン・・・私…途中だけど…帰る・・・会費は後でいい?」

――――いいわよ。気を付けて帰ってね。今日はありがとう・・・


「また…連絡するね・・・」

私はそう言って、切った。

「今夜は合コンでこのバーに来たの?」

「はい・・・でも・・・人数合わせで呼ばれただけで」

「どう?時間あるんなら、俺たちと飲む?」

「えっ?でも・・・」

「男二人じゃ…寂しくて・・・無理とは言わないけど」

「いえ・・・支社長の頼みなら一緒に飲みます」


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