御曹司は眠り姫に愛を囁く
支社長は私からずっと目を離さなかった。

「今は何してるの?」

「今は『ASAMI』と言う建築事務所で働いています」

「えっ?『ASAMI』??」

支社長の声が少しひっくり返った。

「電話は終わったのか?瑛」

「!!?」

支社長が案内したテーブル席には須藤さんが座っていた。

「何で?瑛と貴崎が一緒に居るんだ?」

「あ…彼女・・・元は『シーナ』の横浜ショールームで働いていたんだ」

「何、そうなの??」

「はい・・・」

「へぇー」

支社長は自分が座っていた椅子に私を座らせ、係の人にもう一脚椅子を用意させた。

「俺はずっと・・・拓也と同じ『浅見設計』に居たんだと思ってた・・・」

「そうだったんですか・・・」

ライトアップされた東京タワーを眺めながら3人で乾杯。
私はワインの酔いを醒ます為にウーロン茶を飲んだ。

「誰かと食事してたんじゃないのか・・・」

須藤さんには合コン出来たとは言えなかった。

「友達と来たらしいよ・・・」

「そうなのか・・・」

須藤さんの顔が安堵した。
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