御曹司は眠り姫に愛を囁く
陸翔の父親は外交官で、仕事柄、彼は幼い頃から色んな国や異文化に触れ、俺よりも世界を知っていた。

俺の父親・椎名尊(シイナタケル)と須藤の父親は大学時代の親友。

俺の父親も一度は政治家を志して、議員秘書を務めていたコトもあった。『シーナ』は弟の将(マサル)叔父さんが継いだが、その後、父も『シーナ』に入社。元々、カラダが弱かった将叔父さんに代わり、社長に就任し、今も社長の椅子に座り、活躍している。

俺と陸翔は同じ高校の同級生で、仲良くなった。

「昨日、俺同じ会社の女性に告白したんだ」

「陸翔のコトだ・・・その場でOK貰ったんだろ?」


「いや・・・」

「何で?」

「彼女…昔付き合った男が忘れられないらしい・・・」

陸翔は半分グラスの中に残したワインをヤケに煽る。

「そっか・・・」

「どうすればいい?瑛」

「そう言われても・・・その男の彼女の心から追い出すしか・・・」

「俺もそう言った・・・」


空のグラスを置いて、陸翔はつまみの生ハムをの箸で口に運んだ。

「そう言えば、瑛お前は…?女、できたのか?」

「俺?俺は・・・色々と忙しくて・・・恋愛は・・・」









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