御曹司は眠り姫に愛を囁く
俺が電話を切ると視界に男と女の姿が入った。

男は女の背後から抱きつき、何やら耳許で囁く。

こんなところで、いちゃつきかよ・・・他所でやれと言いたいが、相手の女の顔をよく見れば、貴崎さん?

彼女の顔は強張り、嫌がっていた。

俺は慌てて近寄って、二人の間に割り込んだ。

男の顔にも見覚えがあった昨日わが社が新規で導入するセキュリティシステムの『グローバルカンパニー』のセールスエンジニアで来社した佐藤という男だった。佐藤も俺の顔を見た途端、退散した。貴崎さんも俺に気づき、互いに再会を喜び合った。

俺はもう少し彼女とお話したくて、自分のテーブル席に案内した。


俺は2年振りに見る彼女に目が離せない。


髪は以前よりも少し明るめのブラウンヘアのカラーリング。
白いサテンブラウス。
何よりも花柄のスカートが可愛いらしくて、彼女の雰囲気にお似合いの服装だった。

彼女の口から出た『ASAMI』??に驚いたのも束の間、陸翔が彼女の苗字を呟く。




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