御曹司は眠り姫に愛を囁く
「ここが俺の部屋だ」

20階の角部屋の5LDK。ルーフバルコニーに出れば、東京湾と街の夜景が一望できる。

「いい部屋じゃないか・・・」

俺と陸翔は缶ビール片手にバルコニーに出た。

酔いを冷ましながら、新たな酒を喉に通していく。

陸翔は東京湾と夜景を眺めながら、缶ビールを煽り、手摺に両肘をのせた。

「なぁ?瑛」

「なんだ?」

「貴崎さんとなんかあったのか?」

「!?」

俺は「ゴホッゴホッ」と飲んでいたビールで噎せた。

「そうか・・・何かあったのか・・・もしかして、彼女の忘れられない男って…お前か?瑛」

「お、俺じゃない・・・」

陸翔は恋愛のコトとなる勘が研ぎ澄まされたように一層鋭くなる。

「お前の知り合いか?」

「・・・俺の弟の稜だ・・・彼女は稜の元カノだ」

「稜君か・・・お前の話では稜君、女たらしだったな・・・」

「社内の女性を手当たり次第だぞ・・・我が弟ながら・・・呆れる」

社内の女性が稜に泣かされ、俺がどれだけ迷惑を被ったか・・・



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