御曹司は眠り姫に愛を囁く
「なら、もっと後押ししてくれ」

「これ以上何するんだよ!?」

「お前はこのまま既婚者になってくれ」

「既婚者??」

「彼女、薬指のリング見てたぞ」

俺は曾爺様が着けていたマリッジリングを形見に貰い、左手の薬指に嵌めていた。

「彼女、ショックを受けていた」

「ショック?どうして?彼女はまだ・・・稜のコトを・・・」

「瑛は女心、分かってない。弱ってる時に優しくされたら、コロッといっちゃうもんなんだよ」

「・・・でも、もう2年も前の話だ・・・」

「彼女の時間は止まったまま…だから、お前もあの当時のまま、彼女の中で居続けているんだ。優しかった副社長として」

俺は缶ビールを飲みながら考え込む。

「確か・・・この部屋は兄貴夫婦の為に譲るんだろ??」


「まあな」

そんな話をタクシーの中で陸翔にした。
「じゃその部屋のリフォーム、俺たちにやらせてくれ」






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