御曹司は眠り姫に愛を囁く
昨日の夜、激しく降り続いた雨も明け方にはやんでいた。

硝子戸を開けて、外を見れば、東の空の雲が切れて光が差し、光に触れた朝の空気は白く濁った。


テレビの天気予報では晴れマークが出ていた。
梅雨の時期の中休みと言った所だろう。


私は安堵し、出勤の支度を続けた。

エントランスを出ると草木の水玉が光り輝いていた。

私は徒歩で駅まで目黒川沿いの道を歩いていく。

犬を散歩させる年配の女性、自転車で走る制服姿の女子高生が私とすれ違っていく。

皆、それぞれの一日を始めていた。


あれから、椎名さんはフランス出張で不在となり、室雨さんと言う男性秘書の方が代行して須藤さん達と連絡を取り合い、リフォーム開始の日時の調整をしていた。





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