御曹司は眠り姫に愛を囁く
貴崎さんは俺からの土産を受け取ると、部屋の中に案内した。

そして、リビングのソファに「どうぞ」と座らせる。

「秘書の室雨さんから訊いた時、驚きました・・・」

ダイニングテーブルの上にはどんぶりとお椀。

「もしかして・・・夕食の最中でした?」

「まぁ」

「ゴメン・・・室雨が早く、挨拶しとけと言うから・・・つい」

「椎名さんはもう夕食済ませました?」

「え、あ・・・」

中半端な時間帯に機内食を食べた為、夕食はまだ済ませていなかった。

「親子丼と豆腐の味噌汁ですけど、食べますか?」

「あ・・・」

貴崎さんが俺に気を遣ってくれる。

「俺は直ぐに帰りますから…気遣わないで・・・」

俺の緊張はピークに達していた。

でも、腹の虫は緊張感と関係なく、本能でグーと空腹の合図を鳴らした。

「すぐに用意しますね」

俺の腹の虫に彼女はクスッと笑うと、キッチンに向かった。

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