御曹司は眠り姫に愛を囁く
海沿いに建てられたアウトレットモールは南欧のベイサイドをイメージされて造られた。

日本初出店のブランド店もあり、大勢の人たちで賑わう。

「これ可愛いですね・・・」

二人で暑い最中、ウインドショッピングを楽しむ。

陸翔さんは他の人たちが店を見て楽しむ中、建築関係の仕事に就いているせいだろう。
建物や内装の方に自然と目を遣っていた。

「建物の構造や内装が気になります?」

「まあね。ゴメンね・・・せっかくの休みなのに、仕事のコト考えてるみたいで」

「いいんですよ」

「暑いし、お腹空いたし、なんか食べようか?」

「はい」

私達は海が見えるカフェテラスで休憩した。

カフェの全面硝子の向こう側はマリーナ。
ヨットやクルーザーが穏やかな波のさざめく海に停泊していた。

「車がなければ、いけない所だし。今日はこんな素敵な場所に連れてきてくれてありがとうございます。陸翔さん」

「凛音、お礼を言うのはまだ早いよ。デートは終わってないし」

「でも、どうしても言いたくて・・・」

「凛音は律儀だね」




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