御曹司は眠り姫に愛を囁く
休憩し、軽食を食べて再びモール内を散策した。
「瑛、ちょっと腕貸して」
「…ダメだよ。妊婦なのにそんな踵の高いサンダル履いちゃ」
そんな会話を交わし、一組のカップルすれ違っていく。
私も気づいたし、陸翔さんも二人を一瞥した。なのに、お互いに無視して、通り過ぎていった。
「さっきの椎名さんですよね・・・」
「瑛だよ」
隣に居るのが奥様。
白のマキシ丈のワンピースに椎名さんが注意したように妊婦なのに、踵の高い黒のサンダルを履いていた。
顔は大きなサングラスとカンカン帽子で見えなかったが、きっと美人だ。
「どうして声かけなかったんですか?」
「奥さんと久しぶりのデートなんだ…声かけちゃ悪いだろ?」
「それはそうですけど・・・」
明日香の方がガセネタだった。椎名さんにはちゃんと奥様が居た。
あの、マリッジリングは女除けではなく、本物。
心の中に射し込んでいた希望の光が消えていく。
「・・・凛音?」
「なんでもありません・・・」
2年経って気づいた椎名さんへの想いと陸翔さんの間で心が揺れている。
「瑛、ちょっと腕貸して」
「…ダメだよ。妊婦なのにそんな踵の高いサンダル履いちゃ」
そんな会話を交わし、一組のカップルすれ違っていく。
私も気づいたし、陸翔さんも二人を一瞥した。なのに、お互いに無視して、通り過ぎていった。
「さっきの椎名さんですよね・・・」
「瑛だよ」
隣に居るのが奥様。
白のマキシ丈のワンピースに椎名さんが注意したように妊婦なのに、踵の高い黒のサンダルを履いていた。
顔は大きなサングラスとカンカン帽子で見えなかったが、きっと美人だ。
「どうして声かけなかったんですか?」
「奥さんと久しぶりのデートなんだ…声かけちゃ悪いだろ?」
「それはそうですけど・・・」
明日香の方がガセネタだった。椎名さんにはちゃんと奥様が居た。
あの、マリッジリングは女除けではなく、本物。
心の中に射し込んでいた希望の光が消えていく。
「・・・凛音?」
「なんでもありません・・・」
2年経って気づいた椎名さんへの想いと陸翔さんの間で心が揺れている。