御曹司は眠り姫に愛を囁く
私達は3時過ぎまでモールで過ごして、東京に戻っていく。
レインボーブリッジに差し掛かる頃には地平線の彼方が群青色に染まり始めていた。
お台場公園の駐車場に車を停めて、海浜公園に出る。
肌を刺すような陽射しは夜の帳で幕を下ろしたが、未だを辺りは真夏の熱を含んだ気怠い空気が漂った。
二人で砂浜を散歩し、さざ波の音を訊き、鼻腔に潮の香りを感じながら、ウォーターフロントの東京の夜景を楽しんだ。
レインボーブリッジや東京タワーが意外と近くに見えた。
「素敵」
「・・・楽しんでくれて、俺としては嬉しいよ。凛音」
でも、気分は何処かうわの空。
きっと、私は椎名さんと奥様の幸せそうなツーショットを見て、ショックだったんだ。
「凛音」
打ち寄せる波音と共に、彼の甘い声が鼓膜を擽った。
「キスしていい?」
こんなムード満点の場所に案内したのだ。
キスに雪崩れ込むのは当たり前の流れで、恋愛に遠ざかっていた私は少し疎くなっていた。
他の人の気配も感じるし、今はどうしてもそんな気にはなれなかった。
「ゴメンなさい・・・今はダメ」
「どうして?瑛が気になる?」
椎名さんの言う通り、陸翔さんは彼の存在を意識していた。
レインボーブリッジに差し掛かる頃には地平線の彼方が群青色に染まり始めていた。
お台場公園の駐車場に車を停めて、海浜公園に出る。
肌を刺すような陽射しは夜の帳で幕を下ろしたが、未だを辺りは真夏の熱を含んだ気怠い空気が漂った。
二人で砂浜を散歩し、さざ波の音を訊き、鼻腔に潮の香りを感じながら、ウォーターフロントの東京の夜景を楽しんだ。
レインボーブリッジや東京タワーが意外と近くに見えた。
「素敵」
「・・・楽しんでくれて、俺としては嬉しいよ。凛音」
でも、気分は何処かうわの空。
きっと、私は椎名さんと奥様の幸せそうなツーショットを見て、ショックだったんだ。
「凛音」
打ち寄せる波音と共に、彼の甘い声が鼓膜を擽った。
「キスしていい?」
こんなムード満点の場所に案内したのだ。
キスに雪崩れ込むのは当たり前の流れで、恋愛に遠ざかっていた私は少し疎くなっていた。
他の人の気配も感じるし、今はどうしてもそんな気にはなれなかった。
「ゴメンなさい・・・今はダメ」
「どうして?瑛が気になる?」
椎名さんの言う通り、陸翔さんは彼の存在を意識していた。