御曹司は眠り姫に愛を囁く
別れ　瑛side～
俺は実家のある横浜に帰省した。

椎名家の本家邸宅は山手の一等地にあり、建物は明治時代に建てられた建造物で、国の重要文化財に指定されている。

文化財に指定された実家の一部は『椎名家特別資料館』として改装、一般の人たちに開放していた。

敷地は広いし、俺たちの両親と爺様夫妻は別宅で暮らしていた。

「瑛おじちゃん」
兄の息子で長男の楓(ｶｴﾃﾞ)君6歳が俺の足元に走り寄って来た。
兄貴夫婦達は家族3人揃って、先に遊びに来ていた。
「昨日はありがとう。私の買い物に付き合ってくれて」
愛梨さんが昨日の礼を改めて言ってきた。
「いえ」

俺は昨日、愛梨さんの買い物に付き合い、千葉のアウトレットモールに行った。

「お盆玉、ちょうだい」

「お盆玉？？」

「お盆にあげるお年玉のコトだ。瑛」

椎名家の当主でもあり、国会議員の兄貴が首を傾げる俺に教えてくれた。

「なんだ？それは・・・」

「瑛おじちゃん、知らないの？」

「後で渡すから・・・待ってとけ」

「お前の部屋に案内する」

「頼む」

俺は兄貴の案内で、2階のフロアに続く階段を上がっていった。
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