World End 〜七情の泉〜
ティーカップに注がれたお茶の熱が冷める間も無く扉がノックされた。
「……はい」
あからさまに嫌そうに返事をした翼。そんな気持ちの翼の返事が扉の向こうまで届いたかは分からないが、扉は静かに開き始めた。
ローゼンバーグの隣に立つ白髪の少女。見事な白髪に目を奪われた。直ぐそばまで来た少女は髪の毛だけではなく、睫毛、そして眉毛も真っ白だった。肌も血など通っていないのではないかというくらい真っ白だ。
「救世主さま? 如何なさいましたか?」
あまりの凝視に巫女は不思議そうに翼の顔を見つめた。
「あ、えと……珍しい髪色で綺麗だなって思って……」
「ふふっ、巫女となる者は皆同じ髪色をしております故、あまり珍しいものではございませぬ。 わたくしよりも、救世主さまの髪色の方が珍しくございます」
「え!? 私と同じ髪の色の人なんてごまんと居るよ!!」
「いいえ、この世界に黒髪をもつ者は救世主さま以外におりませぬ」
翼は驚いた顔のまま周りを見渡した。部屋には数人の侍女がいるが、確かに黒髪の人は1人もいない。金髪、銀髪、赤毛、茶色……などなど、様々な色をしている。
「みんな染めてるからでしょ?」
「この世界に髪の毛を染める習慣はございませぬ」
さっきから巫女の言葉が妙に引っかかっていた。
「この世界って……」
そこまで言って引っ込む声。素直に思った疑問を口にするのが怖くなってしまった。
「わたくしはプレジール国の巫女_ソンジュと申します」
固まってしまった翼をよそに、巫女_ソンジュは穏やかな声で自己紹介を始めた。
聞いたことのない国名だったが、翼は地理に詳しくない故に分からないんだと自分に言い聞かせた。
「星の導きにて予言し、貴女様をこの世界へ召喚したのはわたくしにございます」
薄々勘付いてはいたが、まさか本当に現実として起こりうるのかとショックを受けた翼の頭の中は真っ白になった。
「……はい」
あからさまに嫌そうに返事をした翼。そんな気持ちの翼の返事が扉の向こうまで届いたかは分からないが、扉は静かに開き始めた。
ローゼンバーグの隣に立つ白髪の少女。見事な白髪に目を奪われた。直ぐそばまで来た少女は髪の毛だけではなく、睫毛、そして眉毛も真っ白だった。肌も血など通っていないのではないかというくらい真っ白だ。
「救世主さま? 如何なさいましたか?」
あまりの凝視に巫女は不思議そうに翼の顔を見つめた。
「あ、えと……珍しい髪色で綺麗だなって思って……」
「ふふっ、巫女となる者は皆同じ髪色をしております故、あまり珍しいものではございませぬ。 わたくしよりも、救世主さまの髪色の方が珍しくございます」
「え!? 私と同じ髪の色の人なんてごまんと居るよ!!」
「いいえ、この世界に黒髪をもつ者は救世主さま以外におりませぬ」
翼は驚いた顔のまま周りを見渡した。部屋には数人の侍女がいるが、確かに黒髪の人は1人もいない。金髪、銀髪、赤毛、茶色……などなど、様々な色をしている。
「みんな染めてるからでしょ?」
「この世界に髪の毛を染める習慣はございませぬ」
さっきから巫女の言葉が妙に引っかかっていた。
「この世界って……」
そこまで言って引っ込む声。素直に思った疑問を口にするのが怖くなってしまった。
「わたくしはプレジール国の巫女_ソンジュと申します」
固まってしまった翼をよそに、巫女_ソンジュは穏やかな声で自己紹介を始めた。
聞いたことのない国名だったが、翼は地理に詳しくない故に分からないんだと自分に言い聞かせた。
「星の導きにて予言し、貴女様をこの世界へ召喚したのはわたくしにございます」
薄々勘付いてはいたが、まさか本当に現実として起こりうるのかとショックを受けた翼の頭の中は真っ白になった。