World End 〜七情の泉〜
有り得ない現実を中々受け入れられなかった。漫画や小説、ドラマなどではよくある設定。だがそれがまさか自分のみに降りかかろうとは考えた事などない。
瞬きすら忘れてしまった翼を静かに見つめるローゼンバーグとソンジュ。まるで想定内だと言わんばかりに落ち着いた態度をとっている。
白を基調とされた広い部屋には数人の人がいるというのに、恐ろしいほど静まり返っている。微かに聞こえる時計の針の音。普段なら気にも留めない音だが、今は煩わしく腹ただしさを感じる。
「救世主さ__」
「一人にして……」
俯き真っ白なシーツを見つめながら、翼はつぶやき声でソンジュの言葉を遮った。
ソンジュは考えるように一度目を伏せ、鼻でゆっくり息を吐きながら再び目を開けた。隣に立つローゼンバーグと視線を合わせ小さく頷くと、「分かりました」とでも言うように、ローゼンバーグも頷き返した。
「また改めて伺います」
「…………」
ソンジュは侍女たちに目配せをすると、翼に背を向け足を進めた。ぞろぞろと皆が退室し、部屋に残されたのは翼ただ一人だけ。翼は力なく体を横に倒し、フカフカの枕に身を預けた。
目の前に広がるクローゼットや花瓶、テーブルや椅子……穴が空くほど見ようとも、見覚えのない事には変わりなかった。
枕を抱きしめベッドシーツに頬をつけた。枕ほどではないが、マットも柔らかかった。目を瞑り、頭の中を整理しようとするが、現実逃避してしまいたい気持ちが邪魔をする。瞑った目から溢れ、流れ落ちる涙。悲しみと不安に呑み込まれる様に夢の中へと落ちて行った。
瞬きすら忘れてしまった翼を静かに見つめるローゼンバーグとソンジュ。まるで想定内だと言わんばかりに落ち着いた態度をとっている。
白を基調とされた広い部屋には数人の人がいるというのに、恐ろしいほど静まり返っている。微かに聞こえる時計の針の音。普段なら気にも留めない音だが、今は煩わしく腹ただしさを感じる。
「救世主さ__」
「一人にして……」
俯き真っ白なシーツを見つめながら、翼はつぶやき声でソンジュの言葉を遮った。
ソンジュは考えるように一度目を伏せ、鼻でゆっくり息を吐きながら再び目を開けた。隣に立つローゼンバーグと視線を合わせ小さく頷くと、「分かりました」とでも言うように、ローゼンバーグも頷き返した。
「また改めて伺います」
「…………」
ソンジュは侍女たちに目配せをすると、翼に背を向け足を進めた。ぞろぞろと皆が退室し、部屋に残されたのは翼ただ一人だけ。翼は力なく体を横に倒し、フカフカの枕に身を預けた。
目の前に広がるクローゼットや花瓶、テーブルや椅子……穴が空くほど見ようとも、見覚えのない事には変わりなかった。
枕を抱きしめベッドシーツに頬をつけた。枕ほどではないが、マットも柔らかかった。目を瞑り、頭の中を整理しようとするが、現実逃避してしまいたい気持ちが邪魔をする。瞑った目から溢れ、流れ落ちる涙。悲しみと不安に呑み込まれる様に夢の中へと落ちて行った。