World End 〜七情の泉〜
「そうぞうしゅって何!? は!? 意味わっかんないんだけど!?」



身を固めていたのが嘘のように、草原の上を裸足でドスドスと歩き始めた。両手は拳を作り、震えている。


翼が目を吊り上げるも、ガイアは眉ひとつ動かさない。


翼は怒りと混乱を纏い、ガイアは冷静と静寂を纏っている。



「説明して! ちゃんと! 分かりやすく!!!」

「我は存在するいくつもの世界を創りし者。 そなたを新たな世界へ推薦した張本人と言えば分かるだろうか」

「……推薦!? てか新たな世界って!? やっぱ日本じゃないって事!? 夢じゃないの!?」



今までにないほど混乱している。風になびく髪の毛が頬に当たり、煩わしそうに払った。



「夢ではない。 日本という国は存在しない世界だ。 生活も常識も全くと言っていいほど違うだろう。 あの世界を救うには外から新たな風を吹き込む必要があった。 それがそなただ」

「なんで私!? 日本には私以外の人間なんてたっくさんいるじゃん! てか日本人じゃなくても世界中いるじゃん!」



翼の怒りはどんどん大きくなっていく。表情を崩さないガイアの顔は整いすぎていて冷たさを感じさせる。翼はまるで見下されているような気分になり、怒りの収まり場所を見失いつつある。



「こうなる事はそなたが産まれたその瞬間から決まっていた」

「……は? 決まってたって……じゃあ私が過ごした今までは!? 私のこれからの人生は!? 家族は!? 友達は!?」



怒りの表情を浮かべながらも、目には涙が溜まっていく。鼻水を啜ると大粒の涙が零れ落ちた。一度流れるともう止まらない。グッと噛み締められた奥歯、そして震える唇。肩を上下に震わせながら乱暴に涙を手の甲で拭った。





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