ケモノ系ケモノ型男子。

「黒谷先輩にお前はまず走れって言われたからそのまま走り続けてただけだよ」


すげー……あの黒谷さんに直々に言われたのか。



「最初しんどくて毎日ゲロ吐くし、暑いし、汗は止まらないしで。部活終わりはいつも泣いてたんだ」



「え…?」



意外だった。いつも辛そうにしてたけど、誰にも弱音を吐かず走り続けているから。



泣くなんて……想像もしていなかった。




「毎日部活行くの嫌だったし、毎日やめたいと思ってた。でも、黒谷先輩に「これだから女子は……」なんて言われるのが嫌で半分ムキになってた。でも今思えば黒谷先輩の嫌味は私を元気づけるためだったのかも」



彼女は笑顔で語っていたけど、話を聞く限り相当辛そうだった。



「それに、私が誰もいない所で泣く度にいつも前野先輩が励ましてくれたから……。だから頑張れたのかな」



俺の知らない所で白井さんはめげずに頑張っていたんだ。



俺はそんな強い心を持った彼女に惹かれた。




「ごめんね、私の話ばっかり」


「いや全然!むしろ白井さんのことずっと放ったらかしみたいにしててごめん」
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