ケモノ系ケモノ型男子。
「もう大丈夫か?」


こんな時だけ無駄に優しい。


「平気です。さっきはお見苦しいところをお見せしてすみませんでした…」



「はは!お前の見苦しいところなんて見飽きたっつーの」



そうやって嫌味言って私をつついてくる。


これがカラスキャプテンの由来。


私しか言わないけどねこんなニックネーム。


てゆーか本人の前で言ったら殺される。



「先輩は大学でも陸上続けるんですよね?」



「まあな。俺才能あるし」



憎まれ口は相変わらずで、その後もたわいもない話をして別れ道が近づいてきた。



「じゃーな。部活でゲロ吐くんじゃねーぞ」


先輩は普段通りの態度で私から離れていく。



それが悔しかったのか寂しかったのか、



「……っ黒谷先輩!」


私は先輩呼び止めた。



黒谷先輩は振り向いてくれない。




「ありがとうございました……!本当に先輩には感謝してます!だから……大学でも…」



喉が重くなる。視界がまた揺れる。

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