ケモノ系ケモノ型男子。
「白井、お前も汗拭いてこい」
「大丈夫です!先輩に比べたら全然…」
「いいからさっさっと行く」
「…はい……」
私、白井 明香 (しろい めいか)は先輩命令に従ってグラウンドを走り、鞄の置いている所に向かう。
「……ない」
鞄の奥深くを探してもタオルは見つからない。
仕方ないので着ている服で拭こうとしたら
「わああ!何してるの白井さん!?」
誰かに見られちゃった。
「梶村くん」
梶村 隼人 (かじむら はやと)くん。私と同じ陸上部で同級生。
「タオル忘れちゃったから服で拭こうと思って……あっち向いててくれないかな?」
「いやいや!そういう問題じゃないでしょ!ちょっと待ってて!」
梶村くんは顔を赤くしながら自分の鞄を探った。
「あの、よかったらこれ。使ってないから臭くないし……」
梶村くんが渡してくれたのはフワフワのタオル。
すごくいい匂いがする。
「ありがとう」
ニコッと微笑むと梶村くんはまたも赤くなった。
熱中症じゃなきゃいいけど……。