ケモノ系ケモノ型男子。
「……また、来てくれますか?」
断った身でこんなことを言うのは本当に失礼だと思う。
でも私は、"森ノ宮高校陸上部の元キャプテン黒谷先輩"としてまた来てほしい。
私のためじゃなく、部員のために。
「はー…。条件がある」
「え、な、なんですか」
「…………ぎゅってしていいか?」
あの黒谷先輩の口からそんな言葉が出でくるなんて……。
や、やばい。
私今すごく赤くなってる。
先輩も耳が真っ赤だ。
ええいもう……!
「ど、どうぞ……」
そう言った途端、先輩はこっちを向いて力強く私に抱きついた。
どうしよう……胸の鼓動がうるさくて聞こえちゃうかも。
あの時のハグとは違って今回は約1分ぐらい抱きついている気がする。
先輩は一言も喋らない。
しばらく沈黙が続いてようやく先輩が私から離れた。
「……………もうホントすまん」
先輩は顔を隠しているけど耳が赤くてバレバレ。
「ら、らいじょぉぶれす……」
私も頭がぼーっとして顔が火照っている。
てゆーかまだ先輩の体の感触が残って落ち着かない!