ケモノ系ケモノ型男子。
「あらら…」
確かに……こーくんは基本真面目だし仕切るのも向いてると思うけど。
梶村くんの方も負けじとキャプテンのイメージが強い。
実力はこーくんと変わらないし、人望は梶村くんの方がある。
おまけに人懐っこくて綺麗な顔立ちをしているので、部活だけじゃなく学校中の人気者だ。
どっちがキャプテンになっても間違いはないと思う。
多分こーくんもそれを分かって私に相談してるんだろう。
「こーくんは、キャプテンなりたくないの?」
「なり…たい。俺の中で"キャプテン"は1番早いという証なんだ。譲りたくはない」
すごい。
こーくんがそこまで強欲な所は初めて見たかも。
「前野さんは早い方をキャプテンにすると言っている。この話は梶村には伝えてない。アイツなら俺を気遣ってキャプテンを譲ると思うから」
「そうだね、梶村くん優しいから」
梶村くんにとってこーくんはライバルだけど、大切な友達でもあるから。
「……もう一度聞く。明香は俺がキャプテンになってもいいと思うか?」
「いいと思う!って言っても私はどっちも応援するけどね!」
「……明香らしいな。お前が応援してくれるなら俺はキャプテンになってみせる」
「うん!頑張れ!」
「頑張る」
たまにしか見せない彼の笑顔は世の女子には刺激が強すぎると思う。
私以外の女子だったら今のでイチコロだったと思う。
普段長くて猫っ毛の黒髪がこーくんの顔の3割を隠してるせいで
彼のイケメンな素顔を知るものは陸上部以外誰も知らないのだ。
「天然って恐ろしい……」
「水のことか?」
「……そう思っといて」