ケモノ系ケモノ型男子。
私も100mのところに行かなきゃ。
移動しようとした瞬間、後ろから誰かに肩をつつかれた。
「ねー君、メアド交換しない?」
さっき前野先輩と揉めてた梅沢高校のキャプテン福田さんだった。
「ごめんなさいケータイ今日持ってきてなくて……」
「嘘だよね?」
ギクッ!
「てゆーか断られたの初めてかも!俺に興味ない?君みたいな可愛い子超タイプなんだけど!」
ひええええ。
なんなのこの人…テレビのイメージと全然違う!!
テレビでは爽やかイケメンランナーって言われてたのに……超チャラ男じゃん!
「あ、あの…私行かないと……」
「いーじゃん別に!名前は?何年生?長距離なら俺が特別練習してあげても…」
「白井明香!2年生!うちの大事な陸上部員だ!とっとと失せろ」
私と福田さんの間に割り込んできたのは前野先輩だった。
てゆーか今名前……明香って。
「んだよ弘樹!独り占めしてんじゃねぇぞ〜」
「女癖の悪いお前に独り占めなんて言われる筋合いねーよ。さっさと行け」
前野先輩が福田さんにしっしっと手を振る。
「じゃーね明香ちゃん♡」
福田さんが私に向かって投げキッスをしてきた。
「零の奴!」
「大丈夫ですよ!名前ぐらい」
むしろ前野先輩になら呼ばれたいぐらい…。
「たくっ……これからは気をつけるんだぞ」
うわわわわわわ!
前野先輩が頭ポンポンしてくれてるー!
「……ふぁい」
嬉しくて口がにやけてしまう。
「前野さん早く始めましょう」
「あ、そうだったな!すまん内山」
前野先輩はこーくんの元へ行ってしまった。
もう少し触れてほしかったなぁ……なんて。