ケモノ系ケモノ型男子。
なんでだろう。胸がざわつく。
「明香、俺はお前が好きだ」
その言葉に私は時が止まったかのような衝撃を受けた。
それは……
ずっと避けてた想い、ずっと避けてた言葉。
それが今直球に来て息が詰まる。
……本当はちょっと分かってた。
同じクラスの男子が私と話したがっていたことも、
委員会の先輩が私に連絡先を聞こうとしてたのも。
でもその想いを聞くのが嫌で、
その言葉を否定しちゃうのが嫌で、
私は知らぬ間に心の中で男子との変な壁を作っていた。
そして今、
一番言ってほしくないセリフを彼は私に言った。
この時…私はどうすれば良かったんだろう。
自分の想いなんか捨てて彼と付き合うべきだったのかな?
ううん違う気がする。
だってそれは……
私が知っている明香じゃないもの。
「ごめんなさいきーちゃん。私あなたのことそういう風に見れない……」
彼は涙目で顔を赤くしていた。
ああ、その顔が見たくなかった。
その悲しさを共有したくなかった。
「なんだよそれ……お前は…俺のこと今までどう思ってたんだよ!」
彼は走って私から離れていく。
「待って!行かないで!」
私も気づけば涙を流していて彼に掴もうとしていた。
私の言葉にきーちゃんは立ち止まる。
「ついてくるな……」
「やだよ……きーちゃん……」
「俺はもう……この先お前と一緒にいれる自信がない……」
「ごめんなさい…ごめんなさい。私きーちゃんとはずっと友達で……」
「無理だよ」
きーちゃんの目に光はなく、私を友達と見ていなかった。
「どんなに大切な友達でも……俺と明香は男と女なんだ。ずっと友達なんて……俺にはできない」
そう言ってきーちゃんは私を置いて走り去ってしまった。
「きーちゃんの泣き顔なんて…初めて見たな……。はははっ。どうしよう……」
私は……どうしたらよかったの?
どれが答えだったの?
「どうしよう……私……。きぃ……きぃちゃん……きーちゃぁん……」
今更後悔したって遅いのは分かってる。
でも自分を責めることしか今の私にはできなかった。
それ以来卒業式でもきーちゃんと会うことはなく。
後からこーくんにきーちゃんが違う高校に行った事を聞いた。
私は春休みの出来事が原因だと思い、こーくんに話したら
こーくんは悲しまず、ただ怒っているだけだった。