ケモノ系ケモノ型男子。



なんでだろう。胸がざわつく。










「明香、俺はお前が好きだ」





その言葉に私は時が止まったかのような衝撃を受けた。







それは……





ずっと避けてた想い、ずっと避けてた言葉。





それが今直球に来て息が詰まる。







……本当はちょっと分かってた。




同じクラスの男子が私と話したがっていたことも、




委員会の先輩が私に連絡先を聞こうとしてたのも。




でもその想いを聞くのが嫌で、



その言葉を否定しちゃうのが嫌で、




私は知らぬ間に心の中で男子との変な壁を作っていた。





そして今、




一番言ってほしくないセリフを彼は私に言った。






この時…私はどうすれば良かったんだろう。




自分の想いなんか捨てて彼と付き合うべきだったのかな?




ううん違う気がする。




だってそれは……




私が知っている明香じゃないもの。





「ごめんなさいきーちゃん。私あなたのことそういう風に見れない……」





彼は涙目で顔を赤くしていた。






ああ、その顔が見たくなかった。



その悲しさを共有したくなかった。





「なんだよそれ……お前は…俺のこと今までどう思ってたんだよ!」




彼は走って私から離れていく。





「待って!行かないで!」




私も気づけば涙を流していて彼に掴もうとしていた。



私の言葉にきーちゃんは立ち止まる。




「ついてくるな……」




「やだよ……きーちゃん……」




「俺はもう……この先お前と一緒にいれる自信がない……」




「ごめんなさい…ごめんなさい。私きーちゃんとはずっと友達で……」




「無理だよ」




きーちゃんの目に光はなく、私を友達と見ていなかった。




「どんなに大切な友達でも……俺と明香は男と女なんだ。ずっと友達なんて……俺にはできない」




そう言ってきーちゃんは私を置いて走り去ってしまった。





「きーちゃんの泣き顔なんて…初めて見たな……。はははっ。どうしよう……」




私は……どうしたらよかったの?





どれが答えだったの?




「どうしよう……私……。きぃ……きぃちゃん……きーちゃぁん……」




今更後悔したって遅いのは分かってる。




でも自分を責めることしか今の私にはできなかった。








それ以来卒業式でもきーちゃんと会うことはなく。



後からこーくんにきーちゃんが違う高校に行った事を聞いた。



私は春休みの出来事が原因だと思い、こーくんに話したら




こーくんは悲しまず、ただ怒っているだけだった。




< 47 / 63 >

この作品をシェア

pagetop