ケモノ系ケモノ型男子。
「いつもすました顔しやがって、お前の中に何のブレーキがあるのかしんねーけどな、俺はお前みたいな中途半端な奴が大嫌いなんだよ!」
こーくんは何も言い返さない…。
「伸び代のないお前にもう用はないんだよ」
いい加減私も言い返そうと思ったけど、私より先に前に出た人がいた。
「黙って聞いてりゃ調子乗りやがって……!おい獅子王!お前が負けたら二度と白井さんに近づくな!」
か、梶村くん……!?
「はあ?お前らが俺に勝てるわけねーだろ?」
「おじげづいたのか?」
「ああ!?」
梶村くんの挑発にカッとなったきーちゃんが梶村くんの胸ぐらを掴む。
「ぐっ…………!」
「表彰台登るのもやっとのお前みたいな奴がしゃしゃりでてんじゃねーぞ?」
きーちゃんの身長は185cm、
梶村くんは179cm。
胸ぐらを掴まれている梶村くんはつま先立ちをしてやっと足が地面につくぐらいの状態になっている。
「やめてっ……!」
そう言おうとした瞬間、
こーくんが梶村くんの胸ぐらを掴むきーちゃんの腕を掴んだ。
「…いいだろう、俺が勝ったら明香には近づくな。負けたら俺は陸上をやめる」
「上等だ」
そしてこの話はここで終わったが、
私はその後とても気が気じゃなかった。
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「なんであんな約束しちゃったの!!」
合同練習が終わって梅沢高校が帰ってすぐに私はこーくんを捕まえて、さっきのことを問い詰めた。
「勝てばいいんだから問題ないだろ」
勝てばいいって……
「勝ったら私達3人…二度と揃わなくなるんだよ?」
「じゃあ明香は俺に負けて陸上をやめてほしいのか?」
「そんな訳ない!!……そんなわけ…ないよ……」
せっかく3人揃ったと思ったのに……。
しょげる私を見て、こーくんは私の頭を撫でてきた。
「ごめんな……明香」
謝られたら…何も言えないよ……。
「……ばか…」