ケモノ系ケモノ型男子。




「遅かったですね明香先輩」





観客席にいたのはマネージャー3人と薫くん1人。






「ちょっと混んでて……」





きーちゃんとの事はなんとなく言えなかった。






薫くんがここにいるってことは…






「薫くん大会に出ないの?」




「僕駅伝まで温存中なんでーす」





そっかもうすぐ駅伝か。



今年は梶村くんとこーくん出るのかな。






「あ、ほら先輩。キャプテン達出てきましたよ」



コートに現れたのは前野先輩含め陸上部員達。






「これよりハードル走を始めます」






アナウンスと同時に前野先輩がハードルが並ぶ前に立つ。





「前野さんの横にいるのって梅沢の福田って人ですよね」





「ほんとだ!なんか喋ってる」




2人の雰囲気的に福田さんが煽って前野先輩がうっとおしがってるんだろう。




わー……仲良さそう。





って福田さんに嫉妬してどうする!






「オンユアマーク……セット……」





観客席から応援の歓声が聞こえてくる。




「がんばれー!!」



「福田さんファイトー!」



「1位とらねぇと承知しねーからな!」





す、すごい……これは応援っ言うのかな?







「明香先輩言わなくていいんですか?前野さんに」





な、なぜ前野先輩。







「いや……どうせ聞こえないよ。それに私なんかが応援したって……」




私がモジモジしていると薫くんはハァーとため息をついた。






「そんなこと言ってたらいつまでたっても気づいてもらえないですよ〜」






気づいてもらえない…か。






確かに今まで大きい声出すのが恥ずかしくて、大会で前野先輩を応援したことはあまりなかったな。







ええいもうヤケだ!






「前野先輩!頑張れー!!!!」





や、やばい。めちゃくちゃ大声で言ってしまった。




周りの人達が私をジロジロ見てくる。




最悪…超恥ずかしい…。




恐る恐る前野先輩を見てみると、



私の方を向いて口をパクパクさせていた。







「あ、り、が、と、う」





口パクの意味を理解するとニヤケが止まらなかった。





「ちゃんと伝わりましたね」





「うん……うん!」




私は薫くんの言葉にコクコクと頷く。





うわぁぁ……嬉しすぎて顔が赤くなる。




前言撤回、超最高!









ハードル走の結果は1位が前野先輩で2位が福田さんだった。






「やったー!やったよ薫くん!」




嬉しくて隣にいる薫くんに抱きつく。





「胸当たってますよ先輩〜」





はしゃぎすぎて薫くんが何言ってるのか分からなかったけど、薫くんもきっと喜んでるよね!





「白井」




気づくと前野先輩が私達のいる観客席の真下にいた。





「あ、先輩!すごく早かったです!1位おめでとうございます!」





「ああ。……さっきの応援ありがとな」





「は、はい!」





うわぁぁあ超嬉しい!



やっぱりさっきの聞いてくれてたんだ!




てゆーか走ってる時に前野先輩超超かっこよかったよぉぉ!






「明香先パーイ。あの2人のことも忘れちゃダメですよぉー」





「ぅあ」





薫くんのふてぶてしい声で我に返る。






前野先輩に夢中で忘れてたけど、





あの約束があったんだった。








< 57 / 63 >

この作品をシェア

pagetop