ケモノ系ケモノ型男子。
それはデート


それは大会の翌日の出来事だった。








「うわぁぁぁぁぁぁあ!!??」







部活終わりでみんながぞろぞろ帰る支度をしている中、梶村くんの叫び声がグラウンドを通り抜けた。








「どうした梶村、タイムでも落ちたか?」





「黙れ梶村」





「梶村さんうるさいですー」







梶村くんの叫び声に心配する前野先輩と、横で通常運転のこーくんと薫くん。







「お前ら2人は後でしばく!ってそーじゃなくて!これ見てくださいよこのページ!」





梶村くんの指さすページを見ると









「わっ!梶村くんとこーくんがいる!」






2人がこの前の大会のインタビュー記事が書かれていた。




しかも写真付きで。








「この陸上雑誌超有名だからすげーじゃん」






嬉しそうな前野先輩だけど、




私は内心、どうして前野先輩が載っていないのか少し腹が立っていた。







「ホントだー載ってあるー。『獅子王キラのライバル現る』だってーウケる」





薫くんが記事の題名を見てプッと笑う。





「ウケねーよ!なんか獅子王のついでみたいで嫌な気分だけど…なんか……俺たちの実力が認められた感じがして嬉しいな!な!内山!」







「興味ねーよそんなの」






「えー!つまんねーやつ」







梶村くん達が載ってあるページは2枚、





きーちゃんが載ってあるページは8枚。





モデルもやってあるきーちゃんだから知名度は高いか。






前野先輩が載ってなくて残念だけど、2人の載ってあるページに





『森ノ宮の王子』





と書いてある。


少しはうちの高校も知名度は上がったかな?








…………にしても。







「ムカつくなー獅子王キラ」







薫くんがムカつくほど彼の写真写りは最高にかっこよかった。





彼が載ってるページ一枚一枚に





『まさしく陸上界の王者!獅子王』




『またも自己新達成!』




『イケメンすぎるその走り』




『獅子王の勢いは止まらない!』





とまあこんな感じでべた褒めの題名ばかりなのである。






こんな大人っぽく写っちゃって…




本人は強情でワガママでイラチで超がつくほど完璧主義者で………





ピリリリリッ






「もしもし!どちら様!」







今ちょっとイライラしてるんですけど!?











「獅子王」




「きょぇっ!?」






ま、まさかのご本人様でいらっしゃいますかー!!!






「ぷっ…ククッ…なんだよ『きょえっ』って」








ひやーーー!!笑われてるよ私!







「あっあああれはきーちゃんの雑誌を見ていたらきーちゃんから電話がかかってきてビックリしたの!!」





モノマネ歌番組でいうご本人登場みたいな感じだよ!!







「俺の雑誌?なんの?」






なんのって…いろんな雑誌に出てるんですか貴方は……。






「陸上の…週刊runningってやつ…?」





私も今日見たからよく知らないけど…。






「あーアレね。俺のこと超べた褒めするアホ雑誌」






知ってるんだ…。






「そんなことより明日、分かってるんだろうな?」







「えっ」

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