遠距離の彼 と 近距離の同期
「ダメだよ。
そんなの、海翔が許さないよ。
海翔の子なんだもん。」

「言わなきゃいい。
初めから黙って、俺の子として産めばいい。」

「そんなのダメだよ。
私は海翔と付き合ってて、海翔と結婚の約束を
してて、海翔の子ができたの。
この事に、天はなんの関係もないでしょ?」

「じゃあ、なんで結は、泣いてんだよ。
好きな奴の子を妊娠して、そんなに泣くわけ
ないだろ!?」

「それは………だって……… 」

「結、よく考えて。
結が本当に好きなのは誰?」

「それは……… 」

「結が、本当は別れたくないと思ってるのは、
誰?」

「 ……… 」

「結が、今、泣いてるのは、誰のため?」

こうなって、初めて気づいた。

私が本当に好きなのは天だって。

だけど、もう遅い。

もう終わりにしなきゃいけない。

一生、この思いに蓋をして生きていかなきゃいけないんだ。
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