遠距離の彼 と 近距離の同期
私たちは、電車で世田谷の彼の実家を目指した。


彼の家は、東京の一等地にある一戸建てだった。

しかも、周りに比べて、とても広い。

「海翔って、もしかして、お坊ちゃん?」

私が聞くと、

「家だけだよ。
昔からここに住んでるっていうだけで、別に
大企業の社長とかそういうのじゃないから。」

と笑った。


海翔が玄関のチャイムを鳴らすと、お母さんらしき人が開けてくれた。

「ただいま。」

海翔が穏やかに微笑む。

「おかえりなさい。そちらが結さん?」

と聞かれて、私が会釈すると、

「そう。
結、母だよ。」

と海翔が紹介してくれた。
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