遠距離の彼 と 近距離の同期

30分後、春山さんの隣の竹本くんが大声を上げた。

「ええ!?
これ、ほんとなんですか、伊藤さん!?」

「え?」

私が顔を上げると、竹本くんは何かが印刷されたコピー用紙をヒラヒラさせた。

何が書いてあるのか分からず、首を傾げていると、竹本くんが紙を持って走ってきた。

「これです! これ!!」

そこには、

『伊藤結さん 送別会のお知らせ』

とあり、今月末で産休に入る旨が書かれていた。

末尾には、『幹事:小川天』とある。

私はひとつ大きく深呼吸をして、

「ほんと。急でごめんね。」

と言った。

「結婚は?」

「8月ぐらいで考えてるけど、まだ、式場も
決まってないから。」

「そうなんですね〜。
はぁ… めっちゃ、驚きましたよ。

あ、おめでとうございます!!」

と竹本くんは私の手を取って、ブンブンと握手をした。
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