遠距離の彼 と 近距離の同期
薄暗い廊下でエレベーターを待っていると、天がまた手を繋いできた。

私が無言でいると、

「結、怒った?」

と聞いてきた。

それでも、私が喋らないと、

「結、ごめん。もうしないから。」

と謝ってきた。

ふふっ
こういうとこ、素直だなぁ。

チン!とエレベーターが到着した。

私は、繋いだ天の手を引いてエレベーターに乗り込む。

午後10時のエレベーターの中は無人だった。

私は1階のボタンを押して、繋いだ手をぎゅっと握った。

そして、天の腕に寄りかかって言った。

「会いたかった。」

天は、繋いだ手を離して、ぎゅっと私を抱きしめた。

「俺も会いたかった。」

エレベーターが1階に着くと、私たちはまた、手を繋いで駅まで歩く。
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