遠距離の彼 と 近距離の同期

また喧嘩を始めた私たちを見て、春山さんが、

「まあまあ。」

と割って入った。

「とりあえず、行くぞ。
主賓が来なきゃ、話にならんだろ。」

「はい。すみません。」

私が春山さんについて行くと、天もついてきた。


会社近くの居酒屋に着くと、奥の座敷にもうみんな座っていた。

「お、伊藤、お疲れ。
主賓席、あそこな。」

と太田さんが指し示したのは、長い座卓がいくつか並べられた中央、安達課長の隣だった。

「はい。ありがとうございます。」

そこに向かう私に、当然のようについて来ようとする天。

そんな天に太田さんが言った。

「小川、じゃんけん！」

「じゃんけん？」

「俺に勝ったら、伊藤の横に座らせてやる。」

「え！？ じゃあ、負けたら？」

「浜井と一緒に末席で、世話係。」

「えぇ！？」