政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

 帰国してから、私はひとり、祖母の部屋で古い映画を観た。

 ローマの休日でアン王女と出会うカメラマンのジョーは、彼女が王女であることにすぐに気がついていた。

 もしかするとモッズコートの彼も、私のことを知っていたのだろうか。だから、私と同じ名前の宝石があしらわれたブレスレットをくれたのだろうか。

 そう考えることは、私にとっては自然なことだった。

 そして、その年の誕生日から送られるようになった差出人不明の真珠も、きっと彼が……。

『今日は君の、自由記念日だろ』

 そう言って笑った彼を忘れないために、私は毎年送られてくる宝石を大切にジュエリーボックスにしまった。

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