政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています
さっと血の気が引く。
え、なに……? どろぼう? ちゃんと鍵をかけていたのに……?
フロアにはぽつぽつと出社してきている人がいるけれど、私の島の机にはまだ誰もいない。
どうしよう。部長の携帯に連絡……?
混乱しかかっていると、唯一机に残されていた内線電話が音を立てた。プルッと鳴りかけたところですばやく受話器を上げる。
「はい、桜井です」
「戸上です。社長室にお越しください」
「え……今ですか? すみません、今ちょっと」
「PC等のお荷物は、こちらで移動させていただきました」
「え……?」
言葉に詰まっているうちに、戸上さんは冷気さえ感じさせる声で「それでは、お早めにいらしてください」と告げて電話を切ってしまった。