政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています
ちょうど来たエレベーターで二十二階まで行くと、ガラス張りのセキュリティドアの前に戸上さんが立っていた。
私をちらと見ると、「おはようございます」と短くあいさつをして、手にしていたカードを見せる。
「本日から、こちらのIDカードをご使用ください」
「え」
見本を示すようにドア脇のカードリーダーにかざすと、ピッと音を立ててガラスの扉が開く。重役フロアに出入可能なIDカードを渡されて戸惑っていると、彼はすたすたと敷き詰められた絨毯の上を歩いていく。
背中に一メートル定規でも仕込んでいるような姿勢の良さで歩いていく戸上さんを、ぽかんと見送っているうちにドアが閉まりそうになって、私はあわててフロアに足を踏みいれた。