政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

 もごもごと口の中にこもるその言葉を私は聞き取ることができないけれど、叔母は「そうでしょう! よくできてるわよね」と返して、祖父の代わりにろうそくの火を消す。

「まったくお前は。おかしなものを頼んで」

 シャンパンのグラスを口に運びながら、伯父が心底嫌そうに眉をひそめた。

「いいじゃないの。お祝いなんだもの。ねえ真治兄さん」

「はは、そうだな」

 前時代的な考えを持つ伯父と、結婚をせず都内にセレクトショップを展開する会社の代表を務めている叔母は、当然ながら水と油だ。

 そんな兄と妹に挟まれた父の真治は、喧嘩をするふたりの仲裁役になることが多く、白鳥家に関して自分の意見はあまり口にしない。

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