政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています
十二月三日は、ホワイトグループの礎を築いた白鳥栄一の、九十五回目の誕生日だ。親族だけのささやかなパーティーは、今年に限っては別の意味合いも含んでいる。
「おやじ。正直に言ってホワイトの業績は思わしくない。不況の長期化で大規模ショッピングセンターの新規開店を凍結しているし、個人消費は依然低迷したままだ」
伯父が祖父にあらためてグループ全体の経営状況を説明し始める。祖父がどれだけ理解しているかはわからないから、それは形だけの報告に近かった。そして、その内容を、父も母も黙って聞いている。
「だが来年、ようやく飛鳥商事との縁談が実を結ぶ。これで資金援助を受けられれば、念願だったR空港の民間委託の件も具体的に進められる――」